(これは映画“DERRIER LE MIROIR”の製作日誌である)
7.24
P(助監督)と打ち合わせ。女優の候補決まる。男優は既に決定済み。本番でのタイトル・クレジットはわけあって、仏語から和名「鏡の裏側」に変更。エキストラの欠員に少々てこずる。図版、演出の書籍はある程度確保しているが、アルトーの「神の裁きと訣別するために」が難物だ。ユニュの「枝状に刻み込まれた流し目」は本物となると40万するので、GQのファクシミリで代用。ま、ボカすのでとくに問題はない。その後、小道具の買出し。食器やらナイフやらを購入。けっこう安く、このままだと予算は安く済みそうだ。ただモノクロの性質上、コントラストをよく出すためにファインダーを何個か買いたいとPが言っている。試し撮りは4日後。男優と女優もくる。初の顔合わせだ。
7.25
Pからメール。男優と女優にフォーマルな衣裳の準備を指定する。
7.26
鈴木からメール。パンフレット用の文章をもらう。ありがたや。
7.29
この日までに図版と書籍の補充を行うつもりだったが、果たせず。そのままなしくずしに試し撮りへ。まずは打ち合わせ。男優、シナリオ読んでおらず説明に苦戦。女優は初対面だが真面目そうで、映画の雰囲気にもあっている。Pには感謝がつきない。さきにライティングとピントのズレをある程度決めておく。ファインダーは2つぐらいですみそうだ。その間お二方はジョン・カーペンターの「ハロウィン」を見ている。そしてこの後に簡単な撮影をはじめる。ついにクランクインだ。女優の方はシナリオを読んでいたのでかなり飲み込みが早い。顔もボカすとレオス・カラックの「ボーイ・ミーツ・ガール」にでてくるミレーユ・ペリエに似ていて、イメージに合う。そう、この「鏡の裏側」は「ボーイ〜」にかなりの負債を負っているのだ。男優は……なんともいいがたい。今度までにシナリオを味読してくれることを祈るばかりだ。今日は8シーン11カットを撮る。解散後、Pと2人で確認。内、採用は半分くらいか。上々だ。とくにライティングの効果がいい。これだったらすべてのシーンにライティングを施そう。
7.30
Pからメール。男優と女優のアドレスを示される。
(公開開始日・八月十五日)
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頓首。
(「肺」製作委員会)