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【開放的人間観】    

〜コミュニケーションを導入に〜

村上 翼

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【序章】

 

論中で最も頻発する単語は「コミュニケーション」であるが、本論はコミュニケーションを主題とはしていない。コミュニケーションに関する研究としてはコミュニケーション学として体系化されており、その研究を敷衍したり、批判したりすることで論じることは可能だが、本論はそのようなことをしてはない。それは、そもそもコミュニケーション学の対象とする人間観に疑問があるからであり、そのような中で研究を行ってもさしたる意義はないと考えるからである。

よって本論ではあくまでもコミュニケーションに関する研究は手段として位置付け、既存の人間観に対峙する人間観、開放的人間観とその展開を提示することとした。本論ではコミュニケーションに留まらず、宗教や意識、ケアなどかなり広範に触れているが、これは開放的人間観のより実感を伴った理解を助けるためである。

端的に各章の内容を紹介するならば、第一章では人間と世界との間で為されるコミュニケーションを扱った。第一章の内容は本文中でも触れているように、世界内存在概念と表象概念を持って把握することも可能だが、本論のテーマたる、より実感を伴った開放的人間観の理解のために、なるべくそれらの概念と用語に立脚することを避けた。

第二章では人間同士のコミュニケーションにおける、その不全をテーマとしている。

第三章はこれまでの集大成であり、様々な人間に関する定義を提唱した後に、新たなる人間観を提示した。加えて、第四節ではケアを例にそれを展開している。

新たなる人間観の重要性は本論中で触れているので割愛するが、今後様々な学問において重要な概念であろうと考えられる。

 

 

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最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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