【いさび交遊録】 第02話

登場人物:荒木置人・きらら☆夕子・村上翼

 

 

 

 荒木置人、きらら☆夕子、村上翼の3人で動物園に行ったことがある。

 突然、動物園に行きたくなったと前日の夜電話してきたのは夕子で、その
日予定がないのは荒木と村上だけだった。

 象と馬とイノシシを鑑賞してから夕子が言った。

「どうして動物園に大人のおもちゃ屋さんがないのだろう」

 この鋭い指摘にふたりはうなった。

「鋭い」村上が叫んだ。「考えてみれば動物園とは何と猥褻なことか」

「鋭い」荒木も叫んだ。「これだけの檻に囲まれたところで、何も感じない者
があるとすれば、それは不能者である」

 傍にいた家族連れがさっと表情を変えて、去って行った。

「例えばあの女の子だ」村上が両親に手を引かれて遠のく、十歳程度の女
児を見つめながら言った。「俺を誘惑しているようにしか俺には思えない」

 ロリータに興味のない荒木はそれを無視した。「考えてみれば俺たちはい
ま、檻に入った動物を鑑賞しているような気になっていたが、あのイノシシか
ら見れば俺たちが格子越しに見えるのだな」彼は最近檻にこっているのだ
った。

「檻だけではない」夕子が言った。「ここには鎖もある。それにスカトロだって
可能だ」そこまで言って彼女は地団太踏んだ。「しまった。どうして私は動物
園AVというものを撮らなかったのだろう」夕子は元AV監督である。

「問題は小学生だ。小学校で動物園見学というのがあるが、引率の先生は
嗜虐的な快楽を貪っているに違いない」

「この錆付いた檻というのが、また、いい。この色合い、趣、つくろうと思って
なかなかつくれるものではない」

「単なる獣姦物ではない、性を通じた人間と動物、あるいは本能と性欲とい
う根源的テーマに迫れたに違いない」

 三者三様に、三人は動物園を満喫した。

 

 

第03話に続く